キャリアアップを目指すあなたへ。学習費用を抑える国の補助金制度を知っていますか?
「キャリアアップのために新しいスキルを身につけたい」「将来のためにリスキリングを始めたい」そう考えているビジネスパーソンは多いでしょう。しかし、専門的なスキルを学ぶには、それなりの費用がかかるのが現実です。そんな学習コストの悩みを解決してくれるのが、国が支援する「教育訓練給付制度」です。
この制度は、働く人の主体的なスキルアップやキャリア形成を支援するために、受講費用の一部を国が給付金(補助金)として支給してくれるもの。つまり、お得に学習を始められるチャンスです。この記事では、リスキリングを検討しているあなたが今すぐ使える「教育訓練給付制度」について、その種類から対象講座、具体的な申請方法まで、分かりやすく徹底解説します。
そもそも教育訓練給付制度とは?
教育訓練給付制度は、雇用保険の給付制度の一つです。一定の条件を満たす方が、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合に、本人が支払った受講費用の一部がハローワークから支給されます。この制度をうまく活用することで、金銭的な負担を大幅に軽減しながら、質の高い学びを得ることが可能になります。
給付制度には大きく分けて3つの種類があり、それぞれ給付率や対象となる講座が異なります。まずは、どの種類が自分に合っているのか見ていきましょう。
3種類の教育訓練給付金 – あなたはどれが使える?
給付金は「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3つに分かれています。それぞれの特徴を理解し、ご自身の目的に合ったものを選びましょう。
専門実践教育訓練【給付率:最大70%】
中長期的なキャリア形成を支援するための、専門的・実践的な訓練が対象です。給付率が最も高く、本格的なリスキリングに最適です。
- 給付額: 受講費用の50%(年間上限40万円)。さらに、受講修了後に資格取得などをし、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、費用の20%が追加支給され、合計で最大70%(年間上限56万円)が給付されます。
- 対象講座例: データサイエンティスト養成講座、AIエンジニア育成コース、専門職大学院(MBAなど)、看護師、美容師、調理師など。
- 主な対象者: 初めて利用する場合、雇用保険の被保険者期間が通算2年以上ある方。
特定一般教育訓練【給付率:40%】
速やかな再就職やキャリアアップに繋がる訓練が対象となります。専門資格の取得を目指す方におすすめです。
- 給付額: 受講費用の40%(上限20万円)。
- 対象講座例: 社会保険労務士、税理士、宅地建物取引士などの資格取得講座、大型自動車第一種・第二種免許、介護職員初任者研修など。
- 主な対象者: 初めて利用する場合、雇用保険の被保険者期間が通算1年以上ある方。
一般教育訓練【給付率:20%】
雇用の安定や就職の促進に役立つ幅広い講座が対象で、最も利用しやすい制度です。まずは気軽にスキルアップを始めたいという方にぴったりです。
- 給付額: 受講費用の20%(上限10万円)。
- 対象講座例: 簿記検定、TOEIC、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、プログラミング基礎、Webデザイン入門など。
- 主な対象者: 初めて利用する場合、雇用保険の被保険者期間が通算1年以上ある方。
自分が給付金の対象か確認する方法
「自分は対象になるのだろうか?」と不安に思ったら、まずは最寄りのハローワークで確認するのが最も確実です。ハローワークの窓口で「教育訓練給付金支給要件照会票」を入手・記入して提出すると、自分がどの訓練の対象となるか、正式な回答をもらうことができます。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類と、雇用保険被保険者証を持参すると手続きがスムーズです。
リスキリングにおすすめ!対象講座の探し方
給付金の対象となる講座は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で探すことができます。このサイトでは、キーワードや資格名、地域などから希望の講座を検索できるため非常に便利です。まずは「プログラミング」「データサイエンス」「簿記」など、興味のある分野で検索してみましょう。
また、多くの資格スクールや専門学校の公式サイトでも、「教育訓練給付制度対象講座」として特集ページが組まれています。気になるスクールがあれば、直接サイトを確認してみるのも良い方法です。
人気の対象講座分野
- IT・Webスキル系: プログラミング、Webデザイン、データサイエンス、AI、ITパスポート
- 事務・会計系: 簿記、ファイナンシャルプランナー(FP)、MOS
- 法律・不動産系: 宅地建物取引士、社会保険労務士、行政書士
- 語学系: TOEIC対策、ビジネス英語
申請から給付金受け取りまでの5ステップ
制度を利用する際の大まかな流れを理解しておきましょう。特に専門実践・特定一般教育訓練では、受講前にハローワークでの手続きが必要になるため注意が必要です。
- 支給要件の照会: まずはハローワークで、ご自身が給付金の対象となるかを確認します。
- 講座の申し込みと受講前手続き: 受講したい講座を決定し、スクールに申し込みます。【重要】専門実践・特定一般教育訓練を利用する場合は、受講開始日の1ヶ月前までに、ハローワークでキャリアコンサルティングを受け、受給資格確認の手続きを完了させる必要があります。
- 受講開始・費用支払い: 指定された受講料を、まずは全額自己負担でスクールに支払います。
- 講座の修了: スクールが定める修了要件(出席率や課題提出など)を必ず満たしてください。修了できなければ給付金は受け取れません。
- ハローワークへの支給申請: 講座修了日の翌日から1ヶ月以内に、必要書類(支給申請書、修了証明書、領収書など)をハローワークに提出します。審査後、指定した口座に給付金が振り込まれます。
※必要書類や手続きの詳細は、必ず管轄のハローワークにご確認ください。
まとめ:今こそ制度を活用し、未来のキャリアへ投資しよう
教育訓練給付制度は、あなたのリスキリングやキャリアアップへの挑戦を、費用面から力強く後押ししてくれる国の補助金制度です。最大で受講費用の7割が戻ってくるこのチャンスを、使わない手はありません。
未来への投資は、早ければ早いほど大きなリターンを生み出します。まずは最寄りのハローワークでご自身が対象かを確認し、どんな講座があるのか検索することから始めてみませんか?この制度を賢く活用し、あなたのキャリアの可能性を大きく広げましょう。

